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クリントイーストウッドという男

実は今回、イーストウッドの新作のCMを務めてさせていただいている。

 

 

 

1番最初にこのオファーを頂いた時は驚いたと共に

とても嬉しかったことを覚えている。

 

 

 

俺が彼の映画で1番最初に観た映画は

ど定番過ぎて恐縮だが「グラントリノ」だ。

 

 

 

最初に観た感想としてはストーリーの素晴らしさは言わずもがな

 

彼はきっとレイシストであり

相当に古典的な考え方の持ち主なのだろうと。

 

 

車を単に背景の一環として描くのではなく

そこに役割を割り振るあたり、男たるもの車はカッコいいものを!みたいな、男なら強くあるべきだ!

 

 

みたいな思想が垣間見えたりする。

 

また作中では

レイシスト的なスラングが多数出てくる。

 

 

誤解を恐れずに言うと、ステレオタイプ

 

 

そんな印象を初めは持っていた。

 

 

 

だが、彼の他の作品を観ていくと

ステレオタイプは自分の方だったのではないか。

そんな風に思うようになってくるから不思議だ。

 

 

 

今の世の中は少々複雑である。

LGBTや人種差別など、以前よりも格段にデリケートになっている。

 

 

マジョリティであることを主張しにくくなり

マイノリティを腫物に触るように扱うようになってはいないだろうか?

 

 

マイノリティの前で、堂々と誇らしくマジョリティであることを主張できない世の中になってはいないだろうか?

 

 

 

ゲイの前で、俺は女が大好きで、カッコいい車に女乗せて、かっこいいスーツを着るのが最高の幸せだと思ってる、なんて言いにくくなっている。

 

 

でも、それを聞いて

 

 

ゲイだって

いや俺にとっての幸せは、いい男と穏やかに過ごすことさ

って堂々と主張して

 

 

お互いに、「確かに、それはそれで楽しそうだね、素晴らしいね」って尊重し合えたら

それが1番の理想なのではないかと思う。

 

 

 

とにかく今、逆にマジョリティであればあるほど

誇りを持って自分の意見を述べられない世の中になっている気がするんだ。

 

 

 

俺はマジョリティの部分もあればマイノリティというか、被差別対象であるパーソナリティも持ち合わせている。

 

 

 

俺の仕事は水商売であり、俗に言うオタクであり、アジア人である。

 

 

 

でも水商売に誇りを持っているし

堂々とアニメが好きだと公言しているし

日本人であることに誇りを持っている。

 

 

水商売ほどゼロからスターダムにのし上がれる世界はないし

アニメは日本が誇る最高の文化の1つだし

日本ほど清潔で奥ゆかしくて四季の美しい国なんてないって心から思っている

 

 

 

 

マイノリティであることに過度に引け目を感じて、その結果相手に気を遣わせてしまうのは

逆の意味での差別につながるという考え方もできるのではないだろうか?

 

 

 

そういう意味で考えると、イーストウッドは

とにかく自分のことを誇りに思い自分が思う美学というものをただ純粋に主張しているだけなのだろう。

 

 

 

彼の作品を見ていると

周りがなんと言おうが、とにかく俺の思うかっこいいはこれだぜ!

みたいな徹底した彼の美学が垣間見える。そこがまたなんとも潔い。

 

 

 

たまたま彼が被差別対象と言われる側でなかったというだけで

 

彼が仮に被差別対象の側面を持ち合わせていたとしても

彼はきっとその部分を堂々と誇りを持って主張し

自分の美学の素晴らしさをフィルム越しに伝えていたと思う。

 

 

 

彼は今の世の中に最も足りない、そういう部分を持ち合わせているのではないか。

 

 

 

もちろん悪意のある差別なんて絶対に許せないし認める必要はない。

レイシストを肯定するつもりなんて一切ない。

 

 

だが、マイノリティ側が引け目を感じ過ぎるのも考えものだと、実際に被差別対象側の僕は思うのだ。

 

 

 

 

世の中には、僕のモノマネをやる人が少なくない数いる。

 

 

面白おかしく金髪のウィッグを被ったりサングラスをかけたり。

 

 

そういう人たちは、憧れを持ってやってくれている人もいれば

中には多少の侮蔑や笑い物としてそういうことをやるなんて人もいるはずだ。

 

 

 

だが俺はそれを不快に思っているだろうか?

答えはノーだ。

 

 

 

なぜなら俺は自分であることを誇りに思っているから。

もしその中に多少の侮蔑があったって、そんなもので俺の誇りが失われたり、自分であることの喜びがなくなったりなんてしないから。だから多少の悪意ならば、そんなにデリケートに過敏に受け止めたりせず流せる。

 

それぐらい自分が好きだからね。

 

 

むしろ髪のセットの仕方でも教えてあげたいぐらいだ。

「おい君、髪の巻きが甘いぜ。もう少し強くカールしたらもっと俺に似ることができるぜ!」ってね!笑

 

 

 

あれ、なんかイーストウッドの話からかなり話が飛んでしまったが

 

 

ちなみに彼の作品で印象に残っている作品は

意外にも

アイガーサンクション

 

 

 

ストーリーとしては割とありきたりなスパイものなんだけれど

観終わって、その撮影の舞台裏を聞いたら彼の仕事にかける熱量と、向こう見ずさ(勿論いい意味で)に痺れてしまう。

 

 

 

超危険な山での撮影をスタントマンではなく自分でやると言って聞かなかったそうだ。実際に1人撮影中に亡くなったらしいし。

 

 

まさにイーストウッドという破天荒ストーリー。

 

 

 

そんな彼のパーソナリティを思い浮かべながらこの作品をみると違った楽しみ方ができたりする。

 

 

 

勿論、クライマッチョもおススメ!

彼の思う、かっこいいの美学がたくさん詰まった良作です。ラストシーンは色んな見方ができると思うので、観終わった方々と酒でも飲みながら語りたい

 

 

ではでは

 

 

 

Catch you later!

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